いつの間にか、君に恋していたんだ。
私より上手い人なんてたくさんいるし、すごくいい賞が取れたのは、1回だけ。
私より上手い人なんてたくさんいる。
あの時のことを思いだそうとすると、辛くなる。苦しくなる。
嬉しすぎてずっと上の空で、周りが見えてなかった私を思い出すことだから。
「伊鳥?」
「あっ、ううん。あの、人物画って太陽君を描いてもいいってこと?」
「あぁ、もちろん!むしろ、描いてほしい!」
「ありがとう。描かせてもらうね」
このことを思い出してしまったら、きっと顔に出てしまう。
それを今は思い出さないためにも、描かなくちゃ。
鉛筆を持ってきてなかったかはら鉛筆を借りて、準備OK。
「太陽君、椅子に座って」
「分かった!」
太陽君に椅子に座ってもらって、私は描き始めた。
その時、輝楽さんは私の横でスケッチブックを見てる。
見られるの恥ずかしいけど、なるべく気にしないようにして……
じっと観察するけど……やっぱり、太陽君は整ってるなって思う。
全部が整っていて、女の子があんなに騒ぐ理由が分かる。
それは、輝楽さんにも言えることだけど……