いつの間にか、君に恋していたんだ。
私なんかが有名……?
よく分からないけど、知っている理由は分かった。
「それにしてもすごいな!いつもここで描いてんの?」
「ううん、いつもじゃないよ。由香ちゃんを待ってる時だけ」
「なるほど、玉城先輩か」
さすが、由香ちゃん。
よく知られてるなぁ。
「琴月って玉城先輩と仲良いよな?」
「うん。由香ちゃんは幼馴染みであり、親友だから」
「そういうことか」
こんな風に会話できるなんてすごい。
ファンの人に知られたら、殺されちゃいそうだけど……
私なんかが神崎君と会話してるなんて、絶対許されない。
血祭りにあげられちゃいそう。
「ごめん、伊鳥!遅くなった!」
そのタイミングで由香ちゃんが来る。
私の近くにいた神崎君を不思議そうに見た。
「あれ?神崎太陽が何でここにいるの?」
「あ、えっと」
「偶然ですよ!じゃあ、もう帰りますね!バイバイ、琴月!」
人懐っこい笑顔で手を振って帰っていった。
由香ちゃんに挨拶しなかったけど……
「何なの、あいつ」
「あはは、まぁ帰ろうよ」
その帰り道、とりあえず話した。
今日起こったことを。