いつの間にか、君に恋していたんだ。


写真撮影大会が始まった。


そんな大会があるのかは分からないけど……


たくさんの人と写真を撮って、少しくたくた。


笑顔で写真を撮ることを心がけていたから、多分途中から引きつってると思う。


「あはは、大変だったね。お疲れ、伊鳥ちゃん」   


そんな私にきーちゃんは労いの言葉をかけてくれた。


そして、ジュースも渡してくれる。


「ありがとう、きーちゃん」


そのジュースを受け取って少し笑うと、きーちゃんも笑い返してくれた。


「どういたしまして」


きーちゃんは素敵な人だと思う。


わざわざジュースを渡してくれたし、気遣い上手だから。


こういうところが皆に好かれる秘訣だよね。


「そういえば、咲来てないよね?」


「そうだね」
  

「頼も来てないよな」


「そういえば、そうだな」


突然聞こえてきた名前にドキッとした。


美術部以外の人は知らないもんね。


私が2人に裏切られたことは……


途端に、ズキンと胸が痛む。


ううん、こんな感情になっちゃいけない。


今は同窓会なんだから、暗い顔しちゃダメ。


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