いつの間にか、君に恋していたんだ。


シーンと静まり返った。


何故か、皆、特に男の子はこっちを注目している。


「ううん、いないよ」


不思議に思いながら、私がそう答えると、男の子は安心したような表情になった。


今聞いてきた子も。


ほんとに何なんだろう……?


「だったら、俺とかどう?」


「あっ、抜け駆けすんなよ!俺は?琴月さん!」


「こんな奴らより俺の方がよっぽどいいよ」


えっ、急に何……?


ていうか、俺とかどうってどういうこと……?


困惑していると、


「こら、伊鳥ちゃんを困らせない!」


きーちゃんが言うと、男の子は大人しくなった。


きーちゃんってすごい……


こうやって大人しくなるのは、きーちゃんがモテる人だからっていうのもあると思うけど……


「よし、伊鳥ちゃん帰ろう?」


「うん」


美術部の皆と帰ることになって、他の皆にちゃんと挨拶をしてから帰った。


「伊鳥ちゃん、疲れたでしょ?」


「えっ、あ、うん。まぁ、正直に言ったら」


苦笑いして、答える。


「そりゃあ、そうだよね」


「伊鳥ちゃんはクラスでも人気あったから、しょうがないと思うけど」


「人気者は大変だね」


人気者……?


私とはほど遠い言葉に首を傾げる。


「私、人気者じゃないよ?」


「ほんと無自覚だよね」


「どうやったら、こんな自覚がない子に育つんだろう……?」


「確かに」


む、無自覚……?


私が?


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