いつの間にか、君に恋していたんだ。


結局、私の方が折れて送ってもらうことになった。


「そういえば、さっきの子達って友達?」


「それしかないと思うけど。わざわざ聞く必要ないだろ」


「いや、そうだけど!そうじゃなくて何の友達かなと思って!ほら、部活の友達とかあるじゃん!」


ほんと、この兄弟は仲良いな……そう思いながら、答える。


「うん、友達だよ。部活のね」


「伊鳥って何の部活してたの?美術部とか?」


さすが、鋭いな……


「そうだよ」


「やっぱりそうか!伊鳥って絵上手いもんなー」


これ以上は聞かれても答えられない。


曖昧な笑みで返した。


「伊鳥の中学の頃ってどんな感じだった?」


「えっ、どんな感じって言われても……まぁ、普通かな?」


「普通って何だよ!」


「太陽が説明しにくいこと聞くからだ」


今度は中学の時。


これもまた詳しくは話せないけど……


しばらくはその話題でつきっきりだった。


私はあのことを伏せて話し、太陽君は中学生活、輝楽さんは高校生活の話をしてくれた。


太陽君、輝楽さんと楽しく話していたら、あっという間に家に着いてしまった。


もう着いちゃったんだ……


少し名残惜しい気分になったけど、お礼をちゃんと言った。


「送ってくださってありがとうございました」


輝楽さんにも向けてるから敬語で。


そして、頭も下げながら。


「ううん、お礼なんていらないからな!」


「こういう時間帯は危険だったりするしね」


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