いつの間にか、君に恋していたんだ。
「あの人、相変わらずね」
由香ちゃんがそう呟いてるのを聞くかぎり、高校生の時もこんな感じだったのかな……?
まぁ、大人っぽいし、騒ぎたくなる気持ちも分かるかもしれない。
「ねぇ、伊鳥が行ってあげたら?せっかくここまで来たんだし」
「いや、私が行っても嫌がるだけだと思うよ?」
「そんなわけないでしょ。伊鳥の良さをここ最近ずっと見てきてるはずだし、きっと伊鳥のことを邪険に扱ったりしないわ。もししたら、私が殴ってあげる」
……後半の乱暴な言葉は聞かなかったことにしよう。
でも、このままだと輝楽さんが大変だし、女の子達も輝楽さんに冷たくあしらわれて可哀想。
私が勇気出して、行かなくちゃ……
輝楽さんに近づいていくと、輝楽さんも私に気がついたみたい。
「伊鳥ちゃん」
輝楽さんがこっちを向いて声をかけたことで、私は妙に注目されてしまった。
視線がすごい。
それに、怖い。
「輝楽さん、どうしたんですか?」
でも、ここで怖じ気づくわけにもいかないから。
女の子達の視線を気にしないようにして、なるべく普通に聞いてみた。
「あぁ、太陽の忘れ物を届けに来たんだ。今、太陽は?」
「多分、練習だと思います。輝楽さんも知ってると思いますけど、太陽君もバレー部の助っ人をしてますし」
そう、太陽君は最近バレー部の助っ人をしてるんだ。