いつの間にか、君に恋していたんだ。
ここのバレー部は人数が少なくて、こう言っちゃいけないのかもしれないけど弱小。
仲の良い先輩に懇願されて、断れなかったみたい。
「そうか」
輝楽さんが手に持ってるのは、プリント。
もしかして、課題のプリントかな……?
でも、このままだと輝楽さんが帰れないし、太陽君もプリントがなくて困るよね。
だったら……
「あの、私が太陽君に渡しておきます。それか、太陽君の教室に行って渡してもらうよう頼んでみます。だから、そのプリント渡してもらえませんか?」
「伊鳥ちゃんが渡してくれるなら助かる。太陽の手に渡ればどうしてもいいから。任せたよ」
「はい」
プリントを渡されて、しっかり受け取る。
「じゃあ、俺もう帰るから」
最後にそれだけ言うと、帰っていった。
多分、まだ大学は終わってないだろうから、大学に戻るんだよね。
優しいお兄さんだ……
私は一人っ子だから羨ましいな……
由香ちゃんは私にとってお姉ちゃんみたいなものだけど。
輝楽さんみたいな優しいお兄さんもいいよね……
「何、あの子……」
「輝楽先輩と普通に話してたんだけど」
「ありえない。何で、あの子は輝楽先輩と普通に話してるの?」