いつの間にか、君に恋していたんだ。
忘れてたけど、ここ校門なんだった。
たくさんの視線を感じて、居心地が悪くなる。
それに、なんか聞こえてくるし……
「伊鳥、行くわよ」
「あ、うん」
慌てて由香ちゃんのところに駆け寄った。
「そのプリント渡されてたけど、誰に渡すの?」
「太陽君にだよ」
「あぁ、そういうこと。案外優しいのね、輝楽先輩」
「うん、そうだよね」
弟想いなんだよね、輝楽さんは……
「じゃあ、神崎太陽のクラスに行くの?」
「うん。でも、太陽君がいるか分からないから。いなかったら、いる人に太陽君に渡してもらうように頼もうかな」
「そうね」
太陽君の教室に向かっている最中も視線を感じた。
なんか、悪目立ちしちゃったかな……?
そう思いながらも、気にしないようにする。
とりあえず、今は太陽君にプリントを届けなくちゃ。
太陽君の教室に着いて、覗き込むと太陽君はいないみたいだった。
まだ練習してるのかな……?
「お、琴月さんじゃん!どうしたの?」
いかにも明るい感じの男の子が私に近寄ってきた。
この人に任せようかな。
「ちょっと用があって。あの、このプリントを太陽君に渡してもらえないかな?」
「えっ。あ、これ課題のプリントじゃん!忘れたーとか言ってたけど!」
太陽君の友達かな?
太陽君と同じく明るい。