いつの間にか、君に恋していたんだ。


忘れてたけど、ここ校門なんだった。


たくさんの視線を感じて、居心地が悪くなる。


それに、なんか聞こえてくるし……


「伊鳥、行くわよ」


「あ、うん」
 

慌てて由香ちゃんのところに駆け寄った。


「そのプリント渡されてたけど、誰に渡すの?」


「太陽君にだよ」


「あぁ、そういうこと。案外優しいのね、輝楽先輩」


「うん、そうだよね」


弟想いなんだよね、輝楽さんは……


「じゃあ、神崎太陽のクラスに行くの?」


「うん。でも、太陽君がいるか分からないから。いなかったら、いる人に太陽君に渡してもらうように頼もうかな」


「そうね」


太陽君の教室に向かっている最中も視線を感じた。


なんか、悪目立ちしちゃったかな……?


そう思いながらも、気にしないようにする。


とりあえず、今は太陽君にプリントを届けなくちゃ。


太陽君の教室に着いて、覗き込むと太陽君はいないみたいだった。


まだ練習してるのかな……?


「お、琴月さんじゃん!どうしたの?」


いかにも明るい感じの男の子が私に近寄ってきた。


この人に任せようかな。


「ちょっと用があって。あの、このプリントを太陽君に渡してもらえないかな?」


「えっ。あ、これ課題のプリントじゃん!忘れたーとか言ってたけど!」


太陽君の友達かな?


太陽君と同じく明るい。


< 71 / 326 >

この作品をシェア

pagetop