いつの間にか、君に恋していたんだ。
「はぁ。伊鳥っていい子すぎるのよ。歯がゆいわ」
「別にいい子じゃないよ」
「いや、いい子よ!私の大事な伊鳥があんなことを言われてるのに、私は耐えられないわ!」
由香ちゃんは優しい子だよね。
私もこんな優しい親友をもてて幸せだなぁ……
「これから神崎太陽の家に行くの?」
「うん。太陽君、これから練習で忙しいみたいだから、ボリューム満点の料理を作らなきゃね」
もしかしたら、当分輝楽さんと2人きりになるかもしれないけど……多分、大丈夫だよね?
だいぶ、慣れてきたみたいだし。
「伊鳥なら、絶対いいお嫁さんになれるわ」
「あはは、なにそれ。それに、今の私じゃなれないよ。もっと頑張らなくちゃ」
「これ以上頑張るの?そしたら、男がたかってくるわよ」
「たかってくるって、虫じゃないんだから。それに、そんなわけないよ」
苦笑いをしてそう答える。
「はぁ、そうよね。伊鳥は無自覚だもの。自分がハイスペックであることを自覚してるわけないわよね」
はぁとため息を吐く由香ちゃん。
無自覚って……きーちゃん達にも言われたけど。
そうなのかな……?
あ、いや、それよりも行かなくちゃ。
「ごめんね。じゃあ、また明日ね。由香ちゃん」
「えぇ。伊鳥、また明日!」
足早に太陽君達のマンションに向かった。