いつの間にか、君に恋していたんだ。


マンションに着いて、4階まで上がる。


太陽君からもらった合鍵で中に入ると、玄関にはちょうど輝楽さんがいた。


「あ、輝楽さん。こんにちは」


「こんにちは」


やっぱり、だいぶ慣れたと思う。


今となっては少しだけど笑顔も浮かべてくれるし、嫌な顔もしなくなった。


嬉しいよね。


「じゃあ、作りますね」


冷蔵庫の方に行って、材料があるか確認。


うん、全然大丈夫だね。


今日はミネストローネと豚のしょうが焼きにしよう。


あ、でも色のバランスがよくないから、キュウリの酢の物も入れて。


太陽君は豚のしょうが焼きが大好きだって言ってたから、今日はこのメニューにしたんだ。


「今日は何作るの?」


「えっ。あ、ミネストローネとキュウリの酢の物と豚のしょうが焼きです。簡単なものばかりですけど」


突然現れた輝楽さんに驚きつつも、答える。


「太陽の好きなもの……」


「はい。太陽君、きっと疲れて帰ってくると思うので。私にできるのはそれくらいですし」


私は無力だから、それくらいしかできない。


せめて、太陽君が喜んでくれるものを。


まぁ、輝楽さんにはちょっと悪いけど……


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