いつの間にか、君に恋していたんだ。
「うん、分かった」
「じゃあな、伊鳥!」
「うん、バイバイ」
太陽君と別れて、マンションに行った。
太陽君のご飯を作らなくていいってことは、輝楽さんの分だけ作ればいいってことだよね。
なんか、ちょうどいいかも。
向かいながら、晩ご飯を何にしようか考える。
よし、決めた。
あれにしよう……
着いて、中に入ると輝楽さんが顔を出した。
「伊鳥ちゃん。こんにちは」
「こんにちは」
さっそく輝楽さんの料理を作り始める。
なんか今日はあまり作る気分じゃなかったから、簡単なものを作らせてもらった。
ご飯が炊けて、完成。
「俺運ぶよ」
「あ、お願いします」
輝楽さんが運んでくれて助かった。
にしても、何だろう…この異様な怠さ。
今朝より増してる気がする。
途端に頭痛がして、こめかみを抑える。
本当に何なの……?
「伊鳥ちゃん?」
「えっ、あ、はい。何ですか?」
「具合悪い?なんか、顔色もよくない気がするけど」
「大丈夫です!あの、料理の味はどうですか?」
誤魔化すように話題を変えたのをきっと輝楽さんは気づいてる。
でも、チラッと軽くこっちを見ただけで何もの言わず感想を言ってくれた。
「美味いよ。安定の美味さだね」
「ありがとうございます」
笑顔で言おうにも精一杯。
さすがに分かってきた。
だんだん酷くなってきてるし、今日はすぐ帰った方がいいかも……
「じゃあ、帰りますね」
そう言った直後だった。
急にフラッとして、体が傾く。
あ、倒れる……
「伊鳥ちゃん!」
輝楽さんの声が聞こえて。
……そこで意識を手放した。