花束
フランスの首都、パリ。華やかな雰囲気の建物が並ぶ道を、日本人にしては高身長の女性が歩いていた。淡いピンクのコートもマフラーもおしゃれなデザインでよく似合っている。

「すみません、この花を花束にしてもらえませんか?」

街角にある花屋に女性は立ち寄る。そして、とても流暢なフランス語でチューリップの花束を頼んだ。赤一色だけでなく、ピンクや紫のチューリップも入れてもらい、色鮮やかな花束が出来上がる。

「お待たせしました」

「ありがとうございます。とても素敵です」

女性は微笑みながら花束を受け取り、歩いていく。この街に負けないほどの華やかな雰囲気を出すその女性に、花屋の店員は彼女はどこに向かうんだろう?誰に花束を渡すんだろう?と想像に胸を膨らませるのだ。

女性は花束を抱えながら歩いていく。何人もの人の視線を感じたが、動じることはない。まるでステージに立つモデルのように、彼女は前を向いて歩いていた。
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