夢物語でも語らせて
暗闇に光が刺して、夢なのにふんわり優しい匂いが鼻をかする。
「はじめまして。暑いね。」
目の前には男の子。
風が吹くたびにサラサラとなびく黒髪。
琥珀色の澄んだ瞳がこちらを覗いていた。
「僕はね、ここの海がすごく好きなんだ。」
「確かにキラキラしてて、綺麗だけど、どこにでもあるただの海じゃん。」
「どこにでもあるけど、ただの海じゃないよ。海は一つだけなんだ。」
ハワイの海だって、環境問題で取り上げられている海だって、ここの海なんだよ…。
そう思うと、ただの海には見えないだろ?
そう言って、水平線の果てをみつめ、瞳を煌めかせた。
その瞳に吸い込まれ、沈んでしまいそうになった。
どうして…。
どうしてみんな、私の持ってない、きらきらした目。してるんだろ。
ふと、少年がこちらを見る。