DOLCE VITA  ~ コワモテな彼との甘い日々



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「失礼します」


産婦人科での診察を終え、病室のドアを開けるなり、ベッドの上に寝転がっていた辛島さんが、飛び起きた。


「もかっ!」

「あれ……梅乃さんたちは?」


病室には、辛島さん以外誰の姿もない。


「帰った。もかが帰るときは、電話すればヤスが迎えに来る」


辛島さんの説明によれば、梅乃さんは、わたしが予約したスイートポテトを引き取りがてら、そのまま帰宅したようだ。

タツとヤスにぃも、呼べばすぐに駆け付けるらしいが、何事もなければ辛島さんは明日退院するので、大した準備も、世話もいらない。

お兄さんの龍之介さんにいたっては、明日退院するなら見舞う必要すらないと言っているらしい。


「で、どうだった? 無事生まれそうか?」

「いまのところ、問題ないようです。順調に育ってくれれば、今年中に生まれます」


心拍も確認できたし、貧血も重度ではないので、飲み薬で様子をみることになった。
今後つわりがひどくなる可能性もあるが、いまのところは食欲もあるし、特に気になる症状はない。


「性別がわかるには、もうちょっと待たなきゃならないんですけれど」


ベッドの傍に寄せた椅子に座ろうとしたら、辛島さんが左手でバフバフと布団を叩いた。

わたしが腰掛けるなり、無傷の左腕を腰に回して引き寄せる。

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