DOLCE VITA ~ コワモテな彼との甘い日々
彼女の口から聞く隼人さん像は、隠れマッチョの知的な眼鏡男子。
クールと思われているのも言葉数が少ないだけで、実は気が弱い。
押しの強い相手にはいいように使われてしまうタイプだが、ここぞという時には流されずに進言するので、重宝されているらしい。
ちなみに、彼が勤めているのは国内最大手のスーパーゼネコン「西園寺建設」。
次期取締役社長とも目されている若きCOO――最高執行責任者の秘書を務めている。
「そうなんだよね。アイツ、わかってないんだよ。自分がどんだけイイ男なのか。でも、そこがいいんだけどね」
にへらーっと笑う柚子は、何だかんだ言って婚約者を愛している。
彼女が、一回きりの使い捨てとしてゴミ箱行きにしていた数々の男性たちは、誰一人としてこんな風に愛情をあらわにする彼女の姿を知らないはずだ。
しかも、痴漢とまちがえ、有無を言わさず殴りかかってきた柚子を背負い投げで撃退した男なんて、隼人さん以外にいない。
彼は、真の勇者だ。
(二人に子どもが生まれたら、格闘家の道を歩ませたらどうかしらん……リングネームは、男の子なら『イケメン』とか。女の子なら『ビューティー』とか?)
しようもない妄想をしながら、飲み放題のモトを取るべく杯を重ねる。
ラストオーダーまでに、四杯はクリアしておかなくてはならない。
ここ最近のお笑い芸人の推しやらオススメの日本酒やらの話題を酒の肴にして、順調に杯を重ね、いい感じに酔いも回ったところで、柚子が唐突に聞き慣れぬ単語を口にした。
「ところで、桃果。わたしの結婚式で、ブライズメイドやってくれない?」
「ブライズメイド?」
「うちのママとあっちのママが、欧米かぶれでね。わたしは神前にしたかったんだけど、ウェディング用チャペルやらレストランやらを経営しているところの娘がそれは許されないってこともあって。どうせやるなら、本場そっくりにしたいと盛り上がってて」
柚子のご両親は、いろんな事業の子会社を持つグループ企業のトップ。
中には、ウェディング関連の会社もあり、モデル並みの美貌を誇る彼女は、イメージモデルを務めたこともある。
クールと思われているのも言葉数が少ないだけで、実は気が弱い。
押しの強い相手にはいいように使われてしまうタイプだが、ここぞという時には流されずに進言するので、重宝されているらしい。
ちなみに、彼が勤めているのは国内最大手のスーパーゼネコン「西園寺建設」。
次期取締役社長とも目されている若きCOO――最高執行責任者の秘書を務めている。
「そうなんだよね。アイツ、わかってないんだよ。自分がどんだけイイ男なのか。でも、そこがいいんだけどね」
にへらーっと笑う柚子は、何だかんだ言って婚約者を愛している。
彼女が、一回きりの使い捨てとしてゴミ箱行きにしていた数々の男性たちは、誰一人としてこんな風に愛情をあらわにする彼女の姿を知らないはずだ。
しかも、痴漢とまちがえ、有無を言わさず殴りかかってきた柚子を背負い投げで撃退した男なんて、隼人さん以外にいない。
彼は、真の勇者だ。
(二人に子どもが生まれたら、格闘家の道を歩ませたらどうかしらん……リングネームは、男の子なら『イケメン』とか。女の子なら『ビューティー』とか?)
しようもない妄想をしながら、飲み放題のモトを取るべく杯を重ねる。
ラストオーダーまでに、四杯はクリアしておかなくてはならない。
ここ最近のお笑い芸人の推しやらオススメの日本酒やらの話題を酒の肴にして、順調に杯を重ね、いい感じに酔いも回ったところで、柚子が唐突に聞き慣れぬ単語を口にした。
「ところで、桃果。わたしの結婚式で、ブライズメイドやってくれない?」
「ブライズメイド?」
「うちのママとあっちのママが、欧米かぶれでね。わたしは神前にしたかったんだけど、ウェディング用チャペルやらレストランやらを経営しているところの娘がそれは許されないってこともあって。どうせやるなら、本場そっくりにしたいと盛り上がってて」
柚子のご両親は、いろんな事業の子会社を持つグループ企業のトップ。
中には、ウェディング関連の会社もあり、モデル並みの美貌を誇る彼女は、イメージモデルを務めたこともある。