DOLCE VITA ~ コワモテな彼との甘い日々
シュークリームな日々
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(似合って……るんだろうか。いやもう、誰? ってくらいに別人だけど……)
面接からなし崩しの初出勤を終え、帰宅したわたしは、スマホの画面に映る自分の姿を見て溜息を吐いた。
梅乃さんは、「顔は出さないから!」と言って、お店のホームページにアップすると張り切っていたが、どうにも居たたまれない気持ちでいっぱいだ。
繊細なレースの施されたアンティークのウェディングドレスは、ガーリーではなくフェミニンなデザインで、それ相応のお値段が付いていた。
『桃果ちゃんは、面長で醤油顔でしょ? シンプルかつエレガントなものが似合うわ。レースやフリルは、それだけで子どもっぽいって勘違いしている人が多いけれど、デザインや使う量によって、ぐっと印象が変わるの。うちで扱っているアンティークドレスは、ロココ調のものではないから、最初のハードルは低いはずよ』
尻込みするわたしに、梅乃さんは着てみてから考えてと言い、試着室に押し込んだ。
押されるまま、流されるまま、逆らえないままに着てみたら、案外着心地は悪くなく、鏡に映る姿も違和感がなかった。
自分でも、悪くないな、と思った。
しかし、だ。
縦巻ロールの髪やフェアリーな髪飾り、ピンクの薔薇のブーケといった小物まで用意して撮影された一枚は、どう考えても盛りすぎだろう。
詐欺だ。
そもそも、ホームページ用の写真は顎から下だけを使うのに、なぜにフル装備にする必要があったのか。
(客観的な評価が聞きたければ、何も言わずに辛島さんに見せてみればいいじゃない、と言われたけれど……)
酷評される可能性があるのに、とてもそんな暴挙には出られない。