DOLCE VITA ~ コワモテな彼との甘い日々
「辛島さんこそ……掴みどころがないわ」
「はぁ? 俺は単純だし、こんだけデカけりゃ掴み放題だろうが」
「そういう意味じゃ……」
「ちょっと黙れ」
「なっ」
「話がしたいんなら、ベッドの上にいる必要はねぇだろうが」
「そ、んなっ……ベッドでも、は、話はす……」
「ヤってる最中に余計なこと考えてたら、楽しめねぇだろうが。ちなみに、ピロートークできるような、中途半端な抱き方をするつもりもねぇぞ」
それでは本当に獣のようではないかという抗議は、声にならない。
いつの間にか把握されている敏感な場所に触れられて、集中力を散らされる。
「アンタはいろいろ考えすぎなんだよ。だから、頭からっぽにして、感じてりゃいいんだ」
いちいち恥ずかしいことを言わなくていいと睨みつけると、ニヤリと笑う。
「それとも……俺のことで頭がいっぱいか?」
「だ、れがっ……」
「俺は、おまえのことで頭がいっぱいだ。もか」
「…………」
甘いものが好きだと、中身まで甘くなるのだろうか。
ベタな口説き文句に、舞い上がるほどおめでたくはない。
けれど、そこに本音がひとかけらくらいは混じっていてほしいと思ってしまうわたしは、彼の甘さに毒されてしまったのかもしれない。