DOLCE VITA ~ コワモテな彼との甘い日々
クリスマスケーキな日々
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「桃果っ! すっごくいいじゃない! 前から思ってたのよ。桃果には、もっと女らしい恰好が似合うって。アンティークも味があっていいわねぇ。デザインも清楚な感じで、桃果にぴったり」
チャペルでの挙式を前に、柚子の晴れ姿をじっくり見ようと花嫁の控室を訪れたら、逆に褒められた。
「ありがとう」
ブライズメイドを仰せつかったわたしは、梅乃さんのお店で仕入れたドレスの中から、淡いピンク色のロングドレスに少し手を入れたものを着ている。
「柚子のドレス、冬っぽくてすてきね。すごく似合ってるし」
柚子が着ているウエディングドレスは、プリンセスラインのロングスリーブ。
大きく開いたデコルテ部分や袖口に、フェイクファーがあしらわれている冬仕様だ。
ジューンブライド――六月、もしくは七月に結婚式を挙げるカップルは多く、冬の結婚式は、天候や師走の忙しさなどもあって何かと敬遠されがちだが、ロマンチックな演出には最適。
大きなクリスマスツリーやきらびやかな装飾も、このシーズンなら派手に感じない。
「挙式には、両家の親戚や親しい友人たちしか呼んでいないから、あまり緊張しなくて大丈夫よ」
一番緊張していそうな花嫁に宥められ、苦笑してしまう。
「そんなにひどい顔してる?」
本来、ブライズメイドは結婚式の準備なども手伝うものだが、わたしに課せられたのは挙式の指輪交換の際に、ブーケとグローブを預かり、結婚証明書にサインするというごく簡単な任務。
とはいえ、失敗は許されない。
「んー、ひどいというか疲れてる……? 仕事、忙しいの?」
「それほどでも。ただ、ちょっと寝不足で」
寝不足の理由は仕事ではないが、詳しく話すようなことでもなかった。
初めて手作りのクリスマスケーキに挑戦し、五度も失敗して、完徹する羽目になっただけだ。