DOLCE VITA  ~ コワモテな彼との甘い日々


ちょっと早めのクリスマスプレゼントだといって塩原さんが送ってくれたのは、「Souvenir」のショートケーキのレシピ。

辛島さんの大好物だ。

作らずに、クリスマスを終えるわけにはいかなかった。


「そっか。ところで、コワモテのカレシとは、どうなのよ? クリスマスはイチャイチャできそうなの?」

「あー、それが……むこうがここのところすごく忙しくて。クリスマスは仕事みたい。今日なら、なんとか夜に時間を作れそうって言われてるんだけど」


わたしと辛島さんのお付き合いは、傍から見たらほとんど進展していないように見えるだろう。

時々、わたしの部屋で夕食とケーキを食べ、泊まるだけ。

一緒に出かけることはあまりなく、わたしの故郷を訪れた以外では、一度巨大パフェで話題のカフェに行ったくらい。

クリスマスくらいは、ちょっと豪華なディナーを食べたり、イルミネーションを楽しんだりしたいと思わなくもなかったが、今年のクリスマスは週の中日。思い切り平日だ。

無理をしてまでこなしたい「イベント」でもないので、日曜日の今夜、ケーキとチキンでささやかなパーティーをすることにした。


「彼、サラリーマンだったっけ?」

「ううん。建設業。でも、最近年を取ったせいか、やたらデスクワークが多いって、嘆いてる」


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