DOLCE VITA  ~ コワモテな彼との甘い日々


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柚子が結婚の誓いを立てるチャペルは、結婚式用に作られたものだった。

しかしながら、豪華なステンドグラスや木製のオルガン、高く開放感あふれる天井の造りなど、雰囲気はたっぷり。装飾としてふんだんに使われているグリーンが、人工的な冷たさを和らげている。

開かれた扉から中へ入ると、既に席は埋まっており、祭壇前には新郎らしき男性とアッシャーらしき男性がいた。

二人ともかなり背が高く、長い脚と広い肩幅にタキシードがよく似合う。

足早に側廊を抜け、祭壇前へ辿り着き、まずは謝罪の言葉を口にする。


「すみません、遅れてしまって……」

「いえ、まだ時間に余裕がありますよ。初めまして、ですね? これから、柚子の夫になる予定の行旨 隼人(ゆきむね はやと)です」


柔らかな笑みと共に名乗った新郎は端正な顔立ちで、見るからに真面目そうな印象だ。


「アッシャーをしてくれているのは、僕の上司で……」

「……もか?」


振り返った隼人さんの後ろからぬっとあらわれたのは、こんな場所で出会うはずのない人物。


「か、辛島さん?」

「え? お二人、知り合いだったんですか?」

「…………」

「…………」


見つめ合い、無言になったわたしたちに、隼人さんも戸惑っている。

しかし、わたしたち三人がこの状況を理解し、把握する間もなく、オルガンがメンデルスゾーンの「結婚行進曲」を奏で始め、チャペルへの入り口が大きく開け放たれて……。


花嫁と、その父が現れた。


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