DOLCE VITA ~ コワモテな彼との甘い日々
スイートポテトな日々
*******
西園寺家の公然の秘密を聞かされ、ヤスにぃがいかにトラさん――辛島さんに心酔しているかを知ってから、三日後。
『今日帰る。「ポテト村」のスイートポテトが食べたい。三百グラムから可』
やっかいな問題とやらに駆り出されていた辛島さんから、運び屋の依頼が入った。
行列ができるほどではないが、なかなかの人気店なので、電話で取り置きをお願いし、閉店時間に間に合うよう早めに上がらせてほしいと梅乃さんに頼んだ。
「トラちゃん、疲れて帰って来ると思うから、たーっぷり癒してあげてね?」
「は、はは……そうですね。頑張ります」
スイートポテトは四百グラムにしたけれど、いっそのこと一キロがよかっただろうか。
そんなことを考えながら、陶器でできた天使の置物を眺めていたら、梅乃さんの野太い叫び声が聞こえた。
「だから、トラは生きてんのか死んでんのか、わかるように説明しやがれっ! タツっ!」
不穏な言葉にドキッとして振り返る。
目が合った梅乃さんに手招きされて歩み寄ると、相槌を打ちながら手元のメモ用紙にいくつかの単語を走り書きする。
『トラ』
『事故』
『病院』
『重体』
そこまで読んだところで、膝から力が抜けてへたりこんだ。