看取り愛~あなたの子は大切に育てます~
「では、先ずはレントゲンを撮らせて下さい」

「はい」

「木村さん案内して」

「はい。看護師の木村です。橘さんご案内します」

「はい」

涼太朗は、看護師の後をついて行く。怪し気な涼太朗の姿に、看護師も声を掛けることなく無言だ。すぐにレントゲン室で撮影してもらい先程の診察室の前まで戻ってきた。

「またお呼びしますので、待合室でお待ち下さい」

「はい」

涼太朗は、あまり話し掛けられない事にホッとし、待つのは苦ではないので、目を閉じて陶芸の作品のイメージを想像する。

再び呼ばれ入った診察室。難しい顔をした先程の医師。

「橘さん、ご家族は?」

「ひとりですが…」

「ご両親も?」

「はい。亡くなっています」

「そうですか。レントゲン画像に気になる点がありまして、このまま1日検査入院していただく事は可能ですか?」



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