看取り愛~あなたの子は大切に育てます~
1週間後、日高先生に付き添われ総合病院を訪れた。

「日高先生、ご無沙汰しております」

「田中くん、涼太朗が世話になったな」

「いえ、僕は何も」

和やかな雰囲気だが、これから診断結果が知らされるのだ。

「先生、僕の体は…」

田中は息を吸い込み意を決して伝える。
「橘さんの病気は、肺癌です」

「「…」」涼太朗は、半分覚悟をしていたのでギュッと目を瞑り受け入れる。日高は、恐れていた結果に肩を落とす。

「田中くん、治療できるのかね?」

「正直申しまして、手術で完全に取ることは難しいです。抗がん剤で少しでも小さくなってくれたらと思います」

「もし、治療をしなければ、僕の余命はどれ位でしょうか?」

「何もしなければ、約1年位だと思います」

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