看取り愛~あなたの子は大切に育てます~
「1年…」

「涼太朗、抗がん剤治療を受けなさい」

「日高先生…。田中先生、抗がん剤を使うと副作用が出ますよね?」日高先生の気持ちは痛いほど伝わるのだが…

「そうですね。個人差はありますが」

「僕は、抗がん剤治療はしません」

「「エエッ?」」

「僕は、残された時間で、自分の人生に後悔のないように作品を作ります」覚悟を決めた強い眼差しに本気だとわかる。

「涼太朗…」日高は、何となく涼太朗が治療はしないと言う気がしていた。孫のような存在の涼太朗には、自分達より長生きしてほしい。だが、涼太朗が望まないならどうする事も出来ない。

「橘さん、少し考えられては?」

「僕は、治療によってどんな副作用があるかもわからない状況より、今のまだ元気なうちにしたいことがあるんです。今後、痛みなどが現れた時に緩和するお薬などはよろしくお願いします」
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