看取り愛～あなたの子は大切に育てます～

｢そうか。今日来てもらったのは、特殊な仕事の話なんだ。今から話す内容を聞いてから決めてもらっていいのだが、絶対に口外しないと約束してもらいたい｣

｢はぁ｣全く想像できない内容に聞くしかない。

｢ある有名な陶芸家の主治医をしている私の大先輩からの依頼でな。人里離れた村に住んでるんだが、咳が続くと街の総合病院で検査したらしいんだ。検査で肺癌が見つかってな、抗がん剤治療をと言われたが、本人が望まないらしい｣

｢…。本来なら抗がん剤で効果が出たら手術ですよね？｣

｢そうなんだが、今のままだと余命が1年と聞いて、残りの人生で悔いのない作品を作りたいらしいんだ｣

｢凄い決断ですね｣

｢そうなんだ。家族もなく、心残りはまだまだ作りたい物がある事位だと聞いた｣