看取り愛～あなたの子は大切に育てます～

そこへ日高先生が顔を出す。

｢待たせたな？ワシは、尚子の夫で主治医の日高だ｣

｢はじめまして。院長先生の紹介で参りました花巻果歩と申します。よろしくお願いします｣

｢そんな固くならなくてよい。これから顔を合わせる機会も多いだろうし、よろしく頼む｣

｢はい｣

｢あなた、私一目で果歩ちゃんが気に入ったわ｣

｢ヤツの推薦だからな。間違いないとは思っていたが、尚子は意外に好き嫌いが激しいから良かったよ｣

｢で？涼ちゃんは？｣

｢どうやら昨夜から作品に没頭して寝てなかったようじゃ。今、寝かせてきた。果歩さん、涼太朗の事をこれから知ってもらいたいのじゃが、先ずは睡眠時間の話から｣と涼太朗が作品にのめり込むと、食事はおろか、睡眠さえ忘れて何日も過ごすと説明された。そして体に悪いから、食事と睡眠は無理にでも取らして欲しいと。