看取り愛～あなたの子は大切に育てます～

｢裏にある穴窯を使うと、味のある作品が出来るんだが、手間と時間と費用が掛かるんだ。数日、昼夜問わず火の番が必要だから、１年に一度と決めて高木さんと高木さんから紹介してもらった職人さんと3人でしていたんだ｣

｢そうなんですね。大変そうですね｣

｢ああ。その穴窯での焼きを3カ月後辺りに考えている。その焼きが俺の生涯最後の穴窯焼だと思う｣

｢そんな…｣

｢まだまだ、出来る限り長生きするつもりだが、体力的にも穴窯はあと1回だ｣

いつ死んでも作品以外には後悔はないと思っていた涼太朗が、果歩と出会い一緒に生活を始め毎日が充実していて楽しく思える。そこには、両親と暮らして居た頃とは違う感情がある。

恋愛とは無縁の涼太朗でも、薄々は気づき始めている。