看取り愛～あなたの子は大切に育てます～

治療期間が終わると退院し、次の治療まで自宅療養をする。

日高夫妻は、毎日山小屋まで来てくれる。果歩と日高夫妻と、心穏やかに生活している今に幸せを感じる。

思い残す事は陶芸だけだと思っていた自分が嘘のように、まだ生きたいと思えているのだ。それどころか、陶芸に関しては思い残す事はないのだ。

毎日、果歩の姿に励まされ辛いはずの治療さえ、果歩と過ごす時間が増える為だと思える。
同年代の人達との交流もなく、恋すら経験せずに終わると思っていた自分の人生が、恋どころか愛しているという感情を知ることが出来た。

退院してからは、涼太朗の寝室で一緒に眠るふたり。
涼太朗は、眠っている果歩に向かって囁く。

｢果歩、愛してる｣

果歩には、未来がある。直接伝える事はしない…

でも、果歩にも充分涼太朗の気持ちは伝わっている。