終わらない夢
チャプター3
Chapter3 変わる世界

翌日、また朝から父は出勤し、しじまが周りを包んでいた。門堂に行ってもいいのだが、いかんせんあの人が少し怖く思えて仕方ない。何せ、めったにない目の色を、しかも私と全く同じ色をしている。それだけと言われるとそれまでになるが、あの人からはそれより他に…なにか、なにかがある。そんな気がしてならなかった。
今はそれを、あの人の年齢だと思うことにした。

こういう静かすぎるほどの空間は嫌いじゃないが、これから少しの間はこれだと思うと、顔をしかめてしまう。そのとき、家のインターホンが鳴った。昨日に続いて、また誰か来るのか。面倒な反面、ありがたいとも思ってしまう。
「突然ごめんなさい。引っ越してきたひとって、あなた?」
「そうだけど…」
「そうなんだ、これからよろしくね!」
可憐な雰囲気をまとう少女は、しっかりした口調で私に話しかけた。
「あっ、自己紹介が遅れたね。私、瑠夏って言うの」
「瑠夏ちゃん…」
「あなたは優奈ちゃん、でしょ?」
「な、なんで知ってるの?」
驚いた私に対し、彼女は微笑みながら話した。
「もう噂は広がってるよ。この村のみんなは知ってるんじゃない?」
…この数日、村の中で目立つことはしていないし、考えられるとしたら、父がここの職場に新しく入ったから…いや、そんな都合のいいことが起こるだろうか。違うとしたら、いったいどこから…?
「咲也から聞いたよ。さすが、やっぱり私たちとは違うね」
「咲也?」
「あれ?昨日たくさん話したって聞いたんだけど」
「昨日は神社の男の子としか話してないけど…」
「そうそう、その男の子だよ。咲也って言うの。…もしかして、名前も知らずに話してたの!?」
「う、うん」
そういえば、自己紹介なんてしてなかった。頭からすっかり抜け落ちていたな。話しててなにもストレスがなかったからつい…。
「あの人もお話しするの、好きだからね。普段から、たくさんの物語を教えてくれるんだよ」
「普段から…」
たしかに、昨日話してくれたのもとても内容が濃かった。お世辞じゃないが、話が上手かったと思う。すぐ話に引き込まれるような感覚があった。
「ねえ、今日はヒマ?」
「うん。…ちょっと待ってて」
彼女は微笑んだ。初めて会ったが、言いたいことはお互いわかったらしい。
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