終わらない夢
チャプター5
Chapter5 花言葉
街が見えてきたとき、前を歩いていた翔が急に振り向いた。
「少し寄り道しようぜ」
「う、うん」
どこかで買い物をするのだろうか。ウィンドショッピングとか、私は好きだけど、男の子で買い物好きなのはあまり聞かないかも…。
「ちょっと待ってて」
そう言って、花屋に入っていった。しかも上品な煌びやかさで、子供が入るには向かなさそうな佇まいだ。
しばらくすると、翔が店員さんと思われる女の人を連れてきた。
「待たせた!」
「…えっと」
「この人は花屋の店員さん!」
…見れば分かる。
「初めまして」
「はじめまして…」
綺麗な女性だと、素直に思った。街で見かけたら、誰しもが惚れそうなくらい美しいひとだ。
「こっちは友達の優奈!なんでも屋をやってんだ」
目が合うと、にっこり微笑まれた。
「夏海さん、よろしく!」
「分かったわ」
そう言うと、その夏海さんとやらは私の体を見つめながら、ポケットから取り出した手帳にメモをしだした。スケッチをするかのように私のことを凝視するその目は、真剣そのものだった。だが、何も知らない私はその状況がくすぐったくてたまらなかった。
「あの、何を…?」
「フフ、気になる?」
その柔らかな笑みは何もかも引き込まれそうな雰囲気だった。
「あなたにぴったりのお花を考えてるの」
「お花?」
「そう。あなたは……ユーカリね」
「…はあ」
ユーカリって、コアラの餌になる植物…だった気がする。毒もあるとか。
しばらくして、夏海さんがユーカリの花を持ってきてくれた。繊細で、触れたら壊れそうな花だと思った。
「これは『今』のユーカリ。花言葉は『再生』ね」
「いま?」
「私たちは、『今』を生きている。でもそれだけじゃない。『過去』も『未来』も生きているの」
何を話しているのかさっぱり分からないが…自然と腑に落ちたのはなぜだろう。
「そうだ、優奈ちゃんもなんでも屋よね?」
「えっ?…はい」
「阿波路っていう所に、別の種類のユーカリがあるの。それを買ってきてほしくて」
まるでさっきまでとは別人のような顔を見せた夏海さんに、はじめてのなんでも屋の仕事をもらった。
「なんでも屋ですから。なんでもします」
「へへっ、なんでも!」
「頼もしいわ。よろしくね」
街が見えてきたとき、前を歩いていた翔が急に振り向いた。
「少し寄り道しようぜ」
「う、うん」
どこかで買い物をするのだろうか。ウィンドショッピングとか、私は好きだけど、男の子で買い物好きなのはあまり聞かないかも…。
「ちょっと待ってて」
そう言って、花屋に入っていった。しかも上品な煌びやかさで、子供が入るには向かなさそうな佇まいだ。
しばらくすると、翔が店員さんと思われる女の人を連れてきた。
「待たせた!」
「…えっと」
「この人は花屋の店員さん!」
…見れば分かる。
「初めまして」
「はじめまして…」
綺麗な女性だと、素直に思った。街で見かけたら、誰しもが惚れそうなくらい美しいひとだ。
「こっちは友達の優奈!なんでも屋をやってんだ」
目が合うと、にっこり微笑まれた。
「夏海さん、よろしく!」
「分かったわ」
そう言うと、その夏海さんとやらは私の体を見つめながら、ポケットから取り出した手帳にメモをしだした。スケッチをするかのように私のことを凝視するその目は、真剣そのものだった。だが、何も知らない私はその状況がくすぐったくてたまらなかった。
「あの、何を…?」
「フフ、気になる?」
その柔らかな笑みは何もかも引き込まれそうな雰囲気だった。
「あなたにぴったりのお花を考えてるの」
「お花?」
「そう。あなたは……ユーカリね」
「…はあ」
ユーカリって、コアラの餌になる植物…だった気がする。毒もあるとか。
しばらくして、夏海さんがユーカリの花を持ってきてくれた。繊細で、触れたら壊れそうな花だと思った。
「これは『今』のユーカリ。花言葉は『再生』ね」
「いま?」
「私たちは、『今』を生きている。でもそれだけじゃない。『過去』も『未来』も生きているの」
何を話しているのかさっぱり分からないが…自然と腑に落ちたのはなぜだろう。
「そうだ、優奈ちゃんもなんでも屋よね?」
「えっ?…はい」
「阿波路っていう所に、別の種類のユーカリがあるの。それを買ってきてほしくて」
まるでさっきまでとは別人のような顔を見せた夏海さんに、はじめてのなんでも屋の仕事をもらった。
「なんでも屋ですから。なんでもします」
「へへっ、なんでも!」
「頼もしいわ。よろしくね」