終わらない夢
『ふたりとも!』
えっ?
「ここにいましたか。探しました」
「…だれ?」
「あなたと話す義理はない。それでは」
「えっ?まっ…」

気がつくと、門堂神社の境内だった。
たす、かった?
「…よかった。無事で」
彼が安堵の息を漏らしている。でも、なんで分かったんだろう。何も話していないのに。
「咲也…どうして分かったの?」
「僕はこの村をずっと見ています。変化があれば、すぐ分かりますよ」
少しだけ怒ったような声音だった。それだけ、心配させてしまっただろうか。
…反省しないと。
「なぜ、あんな所に」
「早く、なんとかしないと。あの女はっ…」
「優奈ちゃん」
聞こえてきたのは、瑠夏ちゃんの声だった。
「あの子、何しようとしてるのか分からないけど。ああなったのは、私のせいなんだ。ごめんね。本当に、ごめん」
たしか、彼女の妹だったかな。腹違いの。
「あの子は…雪は、私の妹っていうことは知ってるよね」
そうして、いつかのように、彼女はゆっくりと話しはじめた。
< 33 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop