今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

「あの日はご迷惑をおかけしました」
「いいえ、いいのよー。イケメンを見られて、こっちも眼福だったわ」

 潤ちゃんは右手を口元に当ててけらけらと笑いながら、左手を振る。

「猫な彼に聞いたけど、一緒に住んでるんですって?」
「あ、はい。でも、居候なんです」
「居候?」

 潤ちゃんが不思議そうな顔をする。

「変な人に襲われそうになったところをたまたま彼に助けてもらいまして。彼の家はセキュリティがしっかりしているから、一時的に置いてもらっているって言うか……」

 陽茉莉は邪鬼のことはぼかして、ことのいきさつを話す。

「変質者かしら? 嫌ねえ。何かある前に警察に相談したほうがいいわよ」
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