今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
店を出て、ひとり歩き始めた高塔はふと空にぽっかりと浮かんだ丸いものに気が付く。
「あれ? やばい、ちょっとやりすぎたかも……」
今日は満月であることをすっかり失念していた。
先ほどの高塔の挑発と酒の力も相まって、これはさぞかし力強く迫られること間違いない。
「うーん。でも、まっ、いっか」
高塔はからりと笑っていつものような適当さで〝問題なし〟と判断する。
「もう一店舗くらい飲んでいくかなー」
明日には、いい報告が聞けるかもしれない。
そんな想像をしつつ、高塔は軽い足取りで夜の町へと消えていった。