今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
「係長……?」

 陽茉莉はお皿をテーブルの上に乗せると、おずおずとソファーに近付く。そこには、丸くなってすやすやと眠る銀色の狼がいた。

「眠っているのかな?」

 そっと手を伸ばすと、ふわふわの毛並みに触れた。

「なんか可愛い」

 三〇分近く待っても一向に起きる気配のないその狼を、陽茉莉はつんつんとつつく。ピンと立った耳が僅かに動いてひげが揺れたが、目は閉じられたままだ。

(大きなわんちゃんみたい)

 ぐっすり眠っているのに起こすのも気が引ける。
 陽茉莉は冷めてきてしまった夕食にふんわりとラップをかけると、それを冷蔵庫へとしまった。

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