緋色の魔女に恋をした
綺麗な獲物
1年に一度行われるつまらない集会の帰り道。
溜め息を吐きながら屋敷に戻っていたら、通り道に小さな人間が倒れていた。
「あら、汚いガキね」
「……きたな、い」
どうやら口はきけるようで、傷だらけの体を起こして人間はこちらを見上げた。
「でも、よく見たら綺麗な顔してるじゃない」
見上げたことによって確認できた顔は、作り物のように綺麗なもので。
例えるなら生きた人形とでも言っておこう。
「綺麗…?皆は気持ち悪いって…」
「気持ち悪い?あぁ…その赤と緑の瞳は人間からすれば気持ち悪いのかもね」
気持ち悪いということが一瞬理解できなかったが、よくよく見ればブロンドの髪には似つかわしくない色が違う両目。
しかも片方は呪われているとよく言われる赤だった。
「怖く、ないの…?」
「怖い?そんなのあるわけないじゃない」
だからと言ってそんなものに恐れるような程弱くはない。
いい事を思いつくと、クスリ笑った。