緋色の魔女に恋をした
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年に一度の集会と言えど、こうも人がバカみたいに集まるのは好きじゃない。
「帰りたいわ」
すでに、そんな気持ちになるほどに。
でも私が持っている情報を求めてる人がわんさかいたりするから帰るわけにもいかず、私自身欲しい情報が合ったりするからやっぱり帰るに帰れない。
「はぁ…」
溜め息を吐き、会場内に足を運ぶことを覚悟すると、背筋を伸ばしヒールを響かせた。
「スカーレット様よ」
「あの方が緋色の魔女」
「マリー・スカーレット様だわ…今年も変わらず麗しいお姿」
耳を澄まさずとも聞こえてくる周りの声。
こういうのはあまり好まないんだけど、罵倒する言葉じゃないだけ有り難い…とでも言っておくべきなんだろうか。
流石に無視するわけにもいかないから、軽く微笑んでおくとたまに黄色い声が湧く。
又はゴクリと息を飲んだような音が聞こえるときもある。
「…やっぱり苦手だわ」
また、溜め息を吐いた。
溜め息を吐いてると、始まった集会の挨拶。
挨拶を務めるのはもちろん大魔女様で、美しい姿は変わらない。