緋色の魔女に恋をした
「あーでも、翡翠にヤキモチ焼いてるんだよね僕」
「は…?」
翡翠は貴方自身なのに、なんで自分にヤキモチなんて焼くのよ。
意味が分からず眉間に皺を寄せれば、
「人間である翡翠を愛しているんでしょ?昨日母さんに仕えてる人から聞いたんだよね“緋色の魔女は人間である翡翠を愛しているそうですよ”って」
それを言えるのはきっとあの人だけ、私をここまで案内した女性。
それにあの人なら会話だって聞けないこともない。
それをわざわざジェイドに話すなんて。
「細かいことはいいじゃない」
細かい男は嫌いよ、と言えばすぐに何も言わなくなったジェイド。
「これからは聞き飽きるくらい言ってあげるわよ」
「本当!?」
「多分ね」
「絶対言って」
「多分って言ってるでしょう」
「絶対だよ」
「…しつこい男も嫌いよ」
今度はそう言ってジェイドを黙らせた。本当すぐ黙るから面白可笑しくて可愛らしい。
「マリー」
「今度は何」
口を閉じたかと思えばまた口を開く。
次は何を言うのかしら。
「初めて見た時から好きだった。今も、これからもずっと好きだよ」
___…何度も聞いてきた言葉のはずなのに、今まで以上に深く胸に響いた。