緋色の魔女に恋をした
魔女の愛しい恋人さん
___あれから50年。
当時342歳だった私は392歳になり。
171歳だったジェイドは221歳になった。
恋人になってからそれだけの月日が過ぎたけど、そうそう老けることなんてなく長生きする魔女にとっては50年なんてものはそこまで長くない。
けれど…
「マリー、そろそろ結婚しよう?もう50年も付き合ってるんだよ?周りの魔女だって結婚はいつですかって訊いてくるんじゃない?」
この男と付き合ってから、月日を少し長く感じるようになった。
「別にそんなことないわ。だって私そこまで仲のいい魔女いないもの」
「マリーってそういうとこあるよね」
恋人になったからと言って接する態度は変わらない。
今まで通り、いつも通り、それからたまに甘いくらい。
ずっと甘いのはあまり好きじゃないの。まぁジェイドはそれでも全然平気とか言ってくるんだけど。
「マリー結婚しよう」
「その気にさせてくれたらね」
「…ほんと、手強い」
年十年も同じようなやりとりをしてるけど、一度もYESと言ったことはない。
成人してるとはいえ、私から見れば彼はまだ少しだけ子供だもの。でもその気にさせてくれたら、言ってあげるわ。