緋色の魔女に恋をした
まぁ…これはいつもの事。
翡翠がこういうようになったのはかれこれ5年前から。
13歳になったころから私のことを意識しだし、好きだと言い始めたのだ。
16歳になったころには恋人になってほしいではとどまらず、結婚しようと言いだしたときにはさすがに驚いたっけ。
まさか食おうと思っていた人間に、好きだなんだと言われるとは夢にも思っていなかったこと。
翡翠は今もなお諦めていない。
「可愛い子なら沢山いるでしょ」
「マリーじゃなきゃダメなんだ」
私好みの綺麗な顔で言われるから、まんざらでもない時もあるけど…いうなれば私と翡翠との間には324歳という歳の差の壁があるうえに、人間という魔女というさらに高い壁がある。
全く、それを分かっていながら言っているのかいないのか…。
たまに、この子の考えていることが分からなくなる時がある。
もとい、我が子ではないから分からなくて当然なんだろうけど。
「いい加減諦めなさい」
「諦めないよ」
「子供には興味がないの。本来貴方を食べるために拾ったんだから」
「じゃあいつ食べてくれるの?」
あぁ言えばこう言う…ほんっとう誰に似たのかしら。