緋色の魔女に恋をした
魔女集会で酸味のある話を
真っ黒なロングドレスに大きくスリットが入ったそこからは、スッとした白い足が晒される。
ファーが付いたコートを羽織り、首元には翡翠の手によってブラックパールのネックレスがつけられようとしている。
「今日の満月より美しくて綺麗だよ、マリー」
「そんなキザな言葉、今時誰も言わないわ」
誰が教えたのか、そんな甘ったるい言葉を後ろから耳元で囁いた翡翠は、ネックレスをつけるために露わになった私の項にチュッとリップ音をたててキスをした。
「何するのよ」
「んー?虫よけ?」
「虫よけって…集会には魔女がほとんどよ…」
一体誰に虫よけするっていうの。
感覚の残る項に手を伸ばして溜め息をつくと、サッと緋色の髪で隠した。
「集会には魔女だけじゃなくて、魔女の召使とか右腕とかも来るでしょ?男女関係なく」
「まぁ…そうね。その場合彼らは別室での待機だけど」
「それでも何かのタイミングで彼らの目にマリーが映るかもしれないじゃん」
何かのタイミングって何よ。
ていうか、そんな細かいことを心配しているっていうの?