翠玉の監察医 Lasting Night
「実は、この村の人たちは二年ほど前からある人物によって洗脳されてるんだ」

車を運転しながら渉が言う。洗脳、という単語に圭介と星夜が息を飲む。

「二年前、この村に黒鳥(くろとり)という占い師を名乗る女がこの村に来たんだ。その女の存在を最初は村人たちは不審がっていた。でも、女が死を予言した人たちが次々と死んでいったから、女をみんな徐々に信用するようになった……」

黒鳥は豪邸をこの村に立てて暮らしているらしい。そして、この宗教を信仰すれば幸せになれると村人たちに言い、自身を神とした宗教を無理やり信仰させているらしい。

「村人たちはすっかり黒鳥を神として崇めている。そして、彼女に従わない者は殺される。村人の中にはその殺しに加担した者もいる。でも、村のことを外部に漏らさないように監視されていて、だから伝えたくても伝えられなかった」

渉がそう暗い顔で言い、圭介は「なら俺たちが証拠を掴んで警察に連絡したらいいんだな」と真剣な目を向ける。星夜は、「解剖は俺と蘭に任せてください」と言った。
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