翠玉の監察医 Lasting Night
村の中を車で走っていると、黒鳥が住んでいると見られる豪邸が蘭の目に映った。瓦屋根の家々が立つ中、西洋風の白い豪邸は色々な意味で目立っている。

圭介の家まで送ってもらい、早速明日から調査をしてみることを四人は決め、今日は休むことになった。



「ただいま〜」

圭介が玄関を開け、蘭と星夜は「お邪魔します」と言いながら家の中に入る。木造の建物だ。かなり古く、ギシギシと廊下を歩くたびに音が鳴る。

「圭介、おかえりなさい。神楽さん、三国さん、いらっしゃいませ」

「ゆっくりしていってください」

リビングで夕食の支度をしていた圭介の両親は、ニコリと優しげに微笑む。いい人だと誰もが思うだろう。

「圭介お兄ちゃん……」

怯えた声に蘭たちは声の方を見る。すると、部屋の隅で二人の小さな女の子が体を震わせていた。

「凛(りん)、愛(あい)、久しぶりだね」

圭介が二人に近付き、笑いかける。しかし二人はますます怯えた目をするだけで、圭介は首を傾げていた。
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