翠玉の監察医 Lasting Night
「この子たちは?」

星夜が訊ねると、圭介は近所の人の子どもだと教えてくれた。出張が多い家らしく、出張の間はこの家で預かっているらしい。

「どうしたんだろう。いつもはもっと元気なのに……」

圭介がポツリと呟き、蘭は二人をジッと観察する。大切なことは観察すらばおのずと見えてくる。使者であっても、生者であっても……。

二人は何かを見つめて震えていた。その視線の先にはーーー圭介の両親がいる。

「ご飯ができましたよ〜!」

圭介の母の言葉で、圭介と星夜は椅子へと座る。しかし、凛と愛はその場から動こうとしない。

「食事は召し上がらないのですか?」

蘭が二人に訊ねると、二人は「いらない!あとで自分たちで作る……」と俯きながら答える。その時、圭介の父が「神楽さん、どうされました?」と呼んだので、蘭は二人から離れることにした。

「待って……」

蘭が離れようとした刹那、腕を掴まれる。そして、二人に泣きながら「助けて……」と囁かれる。
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