翠玉の監察医 Lasting Night

蘭と星夜も遺体を見つけたことなどを話し、スマホで撮った証拠となる写真も見せる。

「これはひどい……」

「死体遺棄を父さんが……」

真っ青になる二人に対し、「解剖は残念ながらできていませんので、ご遺体の身元などは特定できていませんが……」と蘭は言う。

「それより、問題は僕らが調査をしていることがバレてしまった時のことだよ。僕らはまだいいけど、凛ちゃんと愛ちゃんが心配だ」

星夜がそう言い、圭介と渉は顔を見合わせる。蘭はエメラルドのブローチを握り締めた。

凛と愛は、死体遺棄を目撃している。黒鳥を崇めている村人たちからすれば、村や黒鳥の危機に陥れそうな人物を放っておくわけがない。殺害される可能性の方が高い。

「夜、警察が来るまで僕が保護しておきます。こう見えて空手の有段者なんです」

渉が手を挙げ、圭介が「頼むぜ！二人は俺が送っていくよ」と言う。

その時、ふと蘭は視線を感じて後ろを見る。しかし、辺りを見てもそばにいるのは星夜たちしかいない。