翠玉の監察医 Lasting Night
目の前には渉がいた。しかし、渉は数人の村人に拘束され、グッタリとしていた。

「渉!!」

「渉くん!!」

圭介と凛たちが叫ぶ。すると、蘭と星夜は背後から聞こえる足音に振り返った。そこには圭介の両親とさらに大勢の村人がいた。村人たちの手には斧やナタといった凶器がある。

「父さん!それに母さんも!どういうことだよ!?」

圭介が戸惑いながら訊ねると、「お前たちには消えてもらう」と圭介の父親が冷たく言い放つ。村人たちが一斉に武器を構える。

「黒鳥様の存在の危機になるような存在は生かしてはならないの。例え、身内であったとしても……」

圭介の母親もそう言い、「大人しく殺されなさい」と笑う。家族からの裏切りによりショックを受ける圭介を見て、凛と愛は泣き始める。

「星夜さん」

蘭は星夜を見つめる。指示を待っているのだ。戦場では上司からの指示で兵士は動く。星夜は「わかった」と蘭の頭を撫で、圭介を見つめる。
< 25 / 33 >

この作品をシェア

pagetop