翠玉の監察医 Lasting Night
「追うべきでしょうか?」

蘭が星夜に訊ねると、星夜は「どうせ警察が追うよ。それより怪我はしてない?」と蘭に優しく訊ねる。

「私は何ともありません。星夜さんも怪我はありませんか?」

蘭が星夜に訊ねた刹那、パンッと乾いた音が響く。銃声だ。蘭と星夜が後ろを振り向くと、巫女のような衣装を着た女性が立っていた。その手には拳銃がある。

「あなたが黒鳥さんですか?」

蘭が訊ねると、女性は「そうよ。この村の神。コイツらにあんたたちの始末を頼んだのに、あまりにも役立たずだから来たの」と引き金に手をかける。

「そいつらは男だからここで始末する。でもあんたは美しい女だからここでは殺さない。私の美のために血を差し出してもらうわ」

その言葉を聞き、蘭の目が鋭くなる。そして体に力を込めた。

「星夜さんは殺させません。私が救います!この命に代えても、必ず!」

蘭は黒鳥に向けて走り出す。星夜が「蘭!!」と叫んでいるが、体を止めることはできない。そのまま黒鳥に走っていく。
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