翠玉の監察医 Lasting Night
「いえ、気にしてはおりません」

蘭がそう言うと、「蘭ちゃんは甘いわ〜」と碧子がジッと星夜を見つめて言う。

「男なんて危険な生き物なのよ?蘭ちゃんがいくら強いからって勝てない場合もある。星夜くん、蘭ちゃんを襲ったらどうなるか……わかってますね?」

黒い笑みを浮かべる碧子に対し、星夜は顔を真っ赤にしながら「襲いません!!」と慌てて返した。

「その……男女のそういった行為は、僕らが結婚をしてからと決めています。僕だって男ですからそういう欲がないかと言えば嘘になりますけど、蘭を傷付けるようなことはしたくありません」

こんなにも汚れた自分を大切に想ってくれる、蘭は星夜を見つめてまだブローチのついていない胸元にそっと手を当てる。胸にふわりと幸せが広がっていった。

「私は星夜さんがお望みならば、どこまでもお供致します」

蘭は真剣な目で言う。星夜が望むことならば叶えたい。蘭のその発言に、碧子と星夜は「待って!言葉の意味、わかってる?」と慌てて訊ねた。
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