翠玉の監察医 Lasting Night
蘭が星夜を押し返そうとすると、その両手は素早く掴まれ、蘭の頭の上で固定される。

「あのね、僕は今すごく怒ってるの。わかる?」

星夜はそう言い、蘭に顔を近づける。しかし蘭には、何故星夜が怒っているのかわからない。

「黒鳥に立ち向かって無茶して怪我をして……。僕が止めなかったら今頃、蘭は撃たれていたかもしれないんだよ?」

「申し訳ありません。ですが、私はどうしても星夜さんを守りたくて……んんっ!」

蘭の唇が塞がれる。星夜にキスをされたのだ。何度も何度もキスをされ、気が付けば蘭の口腔内には星夜の舌があった。

「んんっ!」

しばらく唇を重ねた後、蘭は星夜に体を起こされる。頰を赤くする蘭に対し、星夜は蘭に対してニコリと微笑んで言う。

「お風呂、一緒に今から入ろう。それで今日は一緒に寝ようか」

「えっ……」

珍しく混乱する蘭は抱き上げられ、星夜に浴室へと連れて行かれる。その時、ポツリと星夜が呟いた。

「ごめん、蘭。決まり事を破るかもしれない」

二人の甘い時間はいつも突然訪れる。
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