翠玉の監察医 Lasting Night

「どういうことだろうって思っていたら、俺のところに写真が友達から送られてきたんです。その……ご遺体の写真が……。村の中で起きた交通事故の写真だって書いてあるんですけど、監察医のお二人から見てどう思いますか？」

圭介はそう言いながら写真を二人の前に出す。見せられた写真に、蘭は目を細めて観察を始める。写真でしか観察できないのがどこかもどかしい。

遺体は激しく損傷し、写真だけでは性別の判断が難しそうだ。全身に傷があり、法医学の知識がなければ「交通事故でこうなった」と言われれば納得するだろう。しかし、プロの考えは違う。

「これ……事故じゃなくて事件に巻き込まれた遺体じゃないの？」

星夜の言葉に圭介が驚く。星夜は遺体にある傷をトントンと指で叩きながら言った。

「全身にあるこの傷、事故でできたものにしては切り傷がやけに多い。交通事故によって亡くなったなら全身を強く打ち付け、痣がもっとあるはず。それに、こんなに損傷している遺体から骨も折れてしまっているはずなのに、骨が折れているようには見えない。これは明らかに事故に見せかけた殺人だよ」