運命の一夜を越えて
でも、今年は違う。

渉の姿を見るだけで、その笑顔を見るだけで、安心できた。


すべての検査を終えてから今日は結果を聞かないまま帰宅することになっていた私は、渉と初めて二人で行ったラーメン屋に向かった。

お腹がすきすぎていた私たちはほとんど言葉を交わさないままにラーメンを夢中で食べた。

「おいしかったー」
二人で替え玉を頼んで、チャーシューも追加してしまった。

お腹がはち切れそうな私たちは帰りに少しだけ散歩をすることにした。

「体調は?」
「ばっちり。むしろお腹がいっぱい過ぎて苦しい。」
ふっと笑う私に渉は少しあきれたような顔をしながらも「そりゃいいことだ」と、手をつなぎながら再び歩き出した。
「やっぱり彩はそうでないとな」
「ん?」
< 183 / 498 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop